
「あの頃はもうすぐ手が届くと思っていた夢が、どんどん遠ざかっていく……」
奈緒(なお)は、ずっと温かい家庭を築くことを夢見てきた。
結婚して3年目。夫・健二(けんじ)との間にまだ子宝には恵まれず、
健二の態度も年々冷たさを増しているように感じる。
会話は減り、笑顔も少なくなった。
奈緒はそんな日々に、静かに息を詰まらせていた。
ある週末、親友・みなみの家に夫婦で招かれた。
そこには優しく妻を気遣うみなみの夫と、愛らしくはしゃぐ小さな子どもたちの姿があった。
笑い声が絶えず、食卓は温もりに満ちている。
奈緒は笑顔で相槌を打ちながら、心の奥で何かが軋むのを感じていた。
「いいなあ、こういう家庭……私も、いつか」数日後。
偶然街で出会ったみなみの夫から、奈緒は思いもよらない一言を耳にする。
「実は……みなみと健二さん、ずっと前から――」
凍りつく瞬間。
親友と夫。
一番信頼していた二人が、長きにわたって自分を裏切っていたという衝撃の事実。
傷つけられた奈緒。
そして、同じように裏切られていたもう一人の“サレた側”。
二人は、やがて静かに、しかし確実に動き出す――。
信じていた日常が崩れ落ちた先に見えたのは、怒りか、悲しみか、それとも新しい始まりか。















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